台湾への和牛輸出の可能性とは?
台湾の牛肉の歴史や動向を押さえて輸出しよう

神戸牛の引き合い多数

輸出先対応国:台湾、香港、中国、アメリカなど

台湾の市場データ

台湾の大きさは九州の98.4%とほとんど面積は同じですが、人口は2357万人と九州(1431万人)の1.6倍という特徴があります[1]。
また、台湾人は一番好きな国として圧倒的な比率で日本を選ぶ、超・親日国でもあります。
台湾だけでも、2019年における名目GDPは6050億USドルとなっており、九州地域の名目GDP5145億USドル(2017年)やタイの5050億USドル(2018年)よりも1000億USドル超高い経済発展を遂げています。
すなわち台湾は、
①人口2000万超の市場規模
②購買力の高さ
③親日国

の3拍子でアジアでも類を見ない特徴があるため、日本産のものには強い関心を示します。特に和牛に対して熱心で、和牛ブームの真っ最中です。というのも、2017年9月に和牛の輸入が解禁がきっかけとなり人気が爆発していることや、台湾での牛肉の自給率は5%前後で畜産物はほとんど国内で消費されてしまうという理由が挙げられます。台湾での牛肉消費のおよそ95%は輸入品であるということになります。また、一人当たりの年間牛肉消費量は5.7キログラム(2016)で、2000年の3.3キログラムと比べて1.7倍も消費量が増加しています。これは、若年層の間で特に受け入れられている洋食文化の広がりが一因とされています[2]。
[1]台湾基礎データ,外務省
[2]台湾の肉牛産業と牛肉市場のすう勢, 財団法人台湾中央畜産会

WAGYU / BEEF

台湾の和牛の歴史 

もともと台湾では牛肉の自給率は99.95%を誇るものでした(1966年)。しかし、1975年には国内生産量の4倍もの量を海外から輸入するようになり、自給率は13.24%に低下しました。その後政府による輸入牛肉に対する課税などの介入で国内の牛肉生産を守る動きもありましたが、台湾での肉牛産業は衰退し、現在の台湾での牛肉自給率は5%以下に転落してしまいました。したがって台湾は牛肉の大半を輸入に頼っており、2017年までのデータによると、台湾はアメリカからの輸入が最も多く4.5万トン以上の牛肉を仕入れています。

台湾の和牛輸入規制に関しては、2001年に牛の病気のひとつBSEが問題となり、日本からの牛肉は輸入禁止とされていました。しかし、2017年9月に和牛が16年ぶりに解禁され、台湾に日本の和牛が入るようになりました。その年にすぐ、台湾は日本からの冷蔵和牛の5大輸出国にランクイン(3位)し、翌年以降2018年と2019年には冷蔵の牛肉のトップ輸出先となりました。冷凍の牛肉の輸出量は2018年に輸出先の国として5位(65トン)、2019年に86トン(4位)と和牛解禁以来、日本にとってかけがえのない和牛輸出相手国と成長しています。 
※BSEとは、牛の脳の組織がスポンジ状になり、異常行動、運動失調などを示し、死亡するとされる病気のこと[3]
※日本からの牛肉輸出のうち、和牛が大半を占めている[4]
[3]牛海綿状脳症(BSE)について
[4]和牛輸出、金額・数量とも最高更新 消費者の裾野広がる 単価は3年連続下落、焼き肉など手ごろな部位人気で , 日経経済新聞, 2020/2/6

Economics / Distribution

海外輸出での和牛価格

日本国内ではコロナにより一時期2053円まで価格が暴落(2020年4月)しましたが、同年12月では加重平均値2906円(東京市場、牛枝肉A5去勢和牛)となっており、昨年同時期2765円を超えています。ただし、日本国内では卸売業者のほうがパワーがあり、和牛農家には利益がほとんど残らない状況があるようです。こうした不利益な部分を解決するために和牛を海外輸出する農家が増えています。例えば台湾や香港などの海外に和牛を輸出する場合、ロインで7000円台後半、ロイン以外も込みで5000円台後半で取引が可能になります。つまり、日本国内で卸すよりも海外に出す方が2.7倍以上の価格で取引ができるということになります。なお、台湾・香港人の感覚としては、和牛の価格が高額であることは問題ではないようで、ごちそうとして食べるには持って来いという意見が多いため、今後の可能性は十分あります。特に、神戸牛はkgあたり12000円以上で輸出取引されており、最も人気のブランド牛です。

Export

台湾、香港、中国、アメリカ、ブラジルなど海外輸出に対応

Industries / Team

台湾での和牛認知動向

日本のA5牛は世界的に有名であり、台湾でも最高級の牛肉として受け入れられています。台湾では2017年秋より和牛が解禁されており、すでに中流~上流階級の台湾人の間では舌が肥えた状態になっています。日系の和食店や焼き肉店も台湾に進出しており、そうした飲食店では和牛が供されます。コロナ前までは、実際に日本に旅行して和牛を楽しむ台湾人も一定数存在します。ですので、本当にいい日本の和牛を食べたいという需要があり、特に神戸牛が求められています。一頭丸ごとよりも部位ごと(ロイン系)の引き合いが多数あり、引っ張りだこ状態です。また、台湾での牛肉食料自給率は4~5%と非常に低く、台湾の牛肉の90%以上は輸入に頼っているため、和牛の受け入れ態勢は完全に整っています。

台湾 和牛 輸出

台湾での和牛の食べ方

台湾で和牛が食べられるシーンとして、祝い事など特別な機会に食される傾向があります。したがって和牛を食べる頻度は日本人と変わらないかもしれません。また、人気部位はサーロインやヒレなどのステーキに向く高級部位が人気です。台湾の牛肉の料理バリエーションは、日本ほど豊富ではなくほとんどがステーキ焼きとして楽しまれているため、ロイン系が人気という食文化的裏付けがあります。

黒毛和牛 台湾輸出

和牛の輸出条件

台湾向けの輸出牛肉の取り扱い要領は こちら(PDF)
台湾での牛肉輸出に関する農林水産省の情報はこちら

01.

日本(福島県、茨城県、栃木県、群馬県及び千葉県を除く。)で出生・肥育された牛又は台湾へ牛肉の輸出を許可されている国において出生し、かつ、日本で 100 日以上飼育されている牛の肉であること。

02.

生後 30 か月未満の牛の肉であること。

03.

特定危険部位を含まないこと。

04.

食用肝臓、眼球、脳、脊髄、胃などを含まないこと。

05.

台湾へ牛肉の輸出が可能である認定と畜場等において、とさつ及び解体から分割まで一貫して行われていること。

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