記事の概要:親日国としてよく知られている台湾。コロナウイルスの影響により観光での往来ができなくなりましたが、
2021年現在はどんな状況でしょうか。今回は、台湾の基礎知識から最新情報を言語、交流、経済面などを通してお届けします
台湾の正式名称は「中華民国」といいます。気候は、北部は亜熱帯気候、南部は熱帯気候で年間を通じて暖かい国です。
日本からも程よい場所に位置し、東京から飛行機で4時間ほどの距離ということもあり人気の海外旅行先の一つです。2019年には日本から台湾に訪れる観光客が216万人に達し過去最高の数字になっています。
文化的にも日本に近い部分もあり、中華圏に進出する第一歩として台湾へと考える企業もあります。そこで、今回は台湾の基礎情報と経済状況の最新情報をお伝えいたします。
人口:2357万人(2020)
年齢分布
日本への観光客数:489万人
(日本政府観光局より2019年統計)
時差:-1時間
日本との貿易額:輸出 約4兆4千万円
輸入 約2兆5千万円
(ジェトロ世界貿易投資報告2019より引用)
平均月収:53,667元(約20万円)1元3.8円換算
(中華民国行政院主計総処調べ2019年統計)
物価:日本よりやや安い程度です。屋台や交通機関の値段は日本に比べると、かなり安く済みます。一方で、自炊する場合は割高になります。そもそも自炊する人口が少ないので割高傾向になるようです。朝市などで安く購入することもできますが、衛生面が気になる方には難しいでしょう。肉や魚がショーケースに入れられることなく並べられているからです。
交通機関について、バス料金はどれほど差があるのでしょうか。都営バスを基準に見てみましょう。都営バスの場合、23区内均一料金で210円かかります。一方、台北市内を走るバスは距離にもよりますが、乗車賃が約57~114円(1元3.8円換算)と日本よりも安く乗車できます。
旅行者の移動手段の一つとしてよく知られている台北地下鉄(MRT)は、約76~247円で乗車することが出来ます。
携帯電話の料金も安く、800円程~2000円弱のプランから選ぶことが出来ます。2000円のプランではパケホーダイ+30分の無料通話がついてきます。
家賃や電化製品に関しては、日本と変わらないか、もしくは割高になるものもあります。
収入のわりに家賃が高い国ですが、多くの世帯は共働きのため旅行や趣味にお金をかけることは難しくありません。若い世代であっても、親と同居だったり、ルームシェアによって家賃負担を減らすのが一般的です。
日本の製品は、輸送費などのコストがかかるため2割ほど高くなります。それでも、たいていの日本製品は手に入れることが出来ます。
台湾ではコロナウイルスの感染拡大を防止するために、いち早く国境での検疫を強化し入国制限を設けました。そのため、感染者数は合計1009人に抑えられています。(2021/3/24)
感染者は低く抑えることはできましたが、経済状況はどうなったでしょうか?
大きな打撃を受けたのは、やはり観光業界です。コロナウイルスの感染拡大が始まる前2019年の台湾に訪れた観光客は1111万人 (内216万人が日本人) に達していました。その観光客がいなくなったため台湾メディアによると、約4000社ある旅行会社の4分の1が倒産する恐れがあると報じました。
今後の見通しとして台湾当局は、台湾へ観光に来る国の感染状況や航空便の状況を見ながら、2021末に観光客の誘致を開始する予定です。
一方輸出は伸びています。財政部によると2020年の輸出額が前年比4.9%増加となり、輸出額が過去最高となりました。
世界的に在宅需要が伸びPCやゲーム機タブレットの需要が増えたため、半導体関連の輸出が増えたためです。台湾では、コロナウイルスの感染を防いだことにより安定した生産活動を維持できたことが輸出増に繋がったものと考えられます。
コロナウイルスにより日本のGDPは4.8%減となりました。そんな中、台湾では輸出が好調だったためGDPは前年比2.98%増加しているのです。この状況の中でプラス成長した数少ない国や地域の一つです。
日台間には正式な国交がないため、公益財団法人日本台湾交流協会(日本側窓口機関)と台北駐日経済文化代表処(台湾側窓口機関)を通じて、交流が行われています。双方の取決めに基づき、日本側は台北・高雄に事務所を設置、台湾側は東京・横浜・大阪・福岡・那覇に事務所を設置しています。事実上、交流協会台北事務所が日本の駐台大使館、台北駐日経済文化代表処が台湾の駐日大使館の機能を果たしています。
民間レベルでのつながりはどうでしょうか 。
なぜ、親日家が多いのか
世界一の親日家とも言われる台湾人ですが、実際の所はどれほどのものでしょう?
「台湾民意教育基金会」の2018年の調査では、実に84%の人が日本に対して「好きな国の一つ、いい印象を持つ国」と答えています。
この数字から確かに、親日家が多いことがわかります。それはなぜでしょう?
その理由は、日本が50年にわたり台湾を統治していた時代にまでさかのぼります。
1895年日清戦争の結果台湾は日本に割譲されました。当時の台湾は清朝に文明の外の地方とみなされていたため疫病が蔓延し、インフラも整備されていない状態でした。
そのため当時の日本政府は、中国本土並みに状況を改善するための計画を立てました。
その結果、インフラ整備、教育、台湾の気候に合わせた農作物の品種改良などを行い、生活の質を改善し経済を発展させました。もちろん、すべてがうまくいったわけではありません。抗日運動が起きることもありました。その時は、武力で制圧することもありました。
それでも、生活の質を向上させたことに対して、良く方受け止められたことで現在でも好意的に感じているのかもしれません。
今でも、博物館に行くと当時の日本人の功績を説明する展示があり、街に出ると日本統治時代の建造物が保存されています。これらのことから、今でも、過去の歴史について好意的に受け取っていることをうかがい知ることが出来ます。
もちろん過去の出来事だけが、親日の理由ではありません。
台湾では、日本のテレビ番組を見ることが出来ます。日本と台湾の距離が近いため、電波が入ってしまうのです。与那国島と台湾まで108キロしか離れていません。これは東京駅から宇都宮駅の距離と同程度です。
このように、番組を見て日本に興味を持ち好きになっていく層がいます。
先ほど触れましたが、街の中には日本の統治時代の建物があります。そのため、幼少期から日本の文化に触れる機会が多くあり、それがきっかけになることもあるようです。
また、高校では科目として日本語を履修できます。これもきっかけの一つといえるでしょう。
他にも、日本製の商品の品質に満足し、それがきっかけとなる人もいるようです。
台湾と中国では、同じ中国語を用いていますがどんな違いがあるのでしょうか。
文字の違い
大きく違う点として、文字が違います。台湾では「繁体字」、中国では「簡体字」が用いられています。
簡体字は中国で識字率の向上を目指して生まれた文字です。現在日本で用いられている漢字を、さらに簡略化した文字です。
繁体字は日本の旧字体に近く画数の多い字体です。台湾では昔から使われている【繁体字】が正式な中国語という認識のようです。そのため台湾では、繁体字と言わず正体字と言われています。簡体字を読むことはできるそうですが、完璧に理解しているわけではないようです。
そのため、閲覧は繁体字の方が断然心に訴えかけるようです。読んでいる途中に一つでも読み方のわからない簡体字があると、そこで感情も途切れていまい「なんと読むのだろう?」の方に集中力が分散されてしまいます。
言葉の違い
台湾の共通語は「華語」「國語」と呼ばれますが、中国の共通語は「普通語」と呼ばれています。発音に関して違いはあまりありません。中国人と台湾人が会話をしても意思の疎通は可能です。日本でいうところの方言程度の違いのようです。
一部の動詞や単語に関しては台湾と中国で表現が異なるものもあります。
これらのことから、会話を楽しむ分には問題のないことがわかりました。
しかし、webページの制作や翻訳の際には、文字の違いとともに、表現方法に注意を払う必要が出てきます。中国で受けのいいキャッチコピーが、台湾でも受けがいいとは限らないのです。
台湾向けローカライズのご相談はこちら
インターネット
台湾では、自由にインターネットに接続することが出来ます。通信速度は比較的安定していますが、Skypeやzoomなど映像のかかわる通信は、地域や時間帯によって重たくなることがあります。
便利なGoogle系のサービスをフル活用することが出来ます。日本と同じようにLINE、Instagram、Twitterなど様々なSNSを利用できます。
一方中国では、グレートファイアウォール(金盾)と呼ばれるネット検閲システムにより、インターネットの使用に制限をかけています。そのため、わたしたちが普段利用しているSNS、例えばLINE、youtube、Facebook、他にもGoogle系サービスなどを用いることが出来ません。代わりに、WeiboやWechatといったSNSサービスを活用できます。
また、中国向けのwebページを作成する際、中国で閲覧できる状態にあるか確認する必要があります。サーバーが日本国内の場合、接続速度が極端に遅いことや最悪表示されないこともあります。
台湾では、日本の製品の人気は今も健在です。百貨店では日本酒のコーナーがあったり、化粧品メーカーのキャンペーンを行っていたりと様々です。
街を歩けば、日本食のレストランや日本の有名ラーメン店を見かけます。
特に、化粧品について取り上げてみましょう。
台湾では、化粧品を購入する際の決め手となるのは、口コミの評価の高さです。日本の化粧品を買う人の実に36%が口コミ重視と答えています。
実際口コミサイト「Urcosme」(日本の@コスメに相当)でも日本の化粧品コーナーが作られるほど。
どちらかというと高級路線の商品が多いように見受けられます。リーズナブルな価格帯のものは台湾メーカーが占めています。
日本からの輸送コストなどを考えると、この価格帯の商品が割高になり苦戦するのは仕方がないのかもしれません。
お問い合わせはこちら