中華圏ECサイトの中で最大級の市場規模を誇る「天猫国際」。中華圏EC進出を検討している企業様にとっては1番の候補となるでしょう。
ですが、天猫国際に関して、実際の出店方法や条件などの情報が集めづらいのも事実です。
そこで本記事では、天猫国際の出店条件から出店形態、必要な書類、初期費用について詳しく解説しています。
天猫国際でのEC進出を考えている企業様はぜひ最後までご覧ください。
まず初めに天猫国際への出店条件について解説します。
2021年5月28日の段階では、以下の条件が天猫国際への出店条件として提示されています。
・中国以外の外資系企業であること
・海外に登録商標があること
・海外零細企業もしくはビジネス経営に関連する資質や許可があること
・自国外において良質な経営実態や信用があること
優先出店条件も存在
→天猫国際には出店条件が一部優遇されたり、出店にかかる費用が一部免除されるなど、
優先的に出店することができる条件も存在します。以下に示した条件がその一例です。
・海外有名実店舗を経営している、あるいは、B2Cウェブサイトを運用している
・中国国内にまだオープンしていない海外有名ブランドである
ただし、天猫国際では不定期的に出店条件の変更が行われており、
「天猫国际2021招商标准 Tmall Global Merchant Acceptance Standards of 2021」の中でも、
不定期的に出店条件や経営状況の条件が更新されることが明言されています。
天猫国際への出店を検討されている場合は、必ず最新版の要項を確認するようにしましょう。
天猫国際に出店をする場合、企業の種別ごとに6つの出店形態が存在します。
本章では出店形態の紹介と、「どういった企業がその出店形態に該当するのか」という出店形態の定義について解説していきます。
・ブランドフラグシップストア(品牌旗舰店)
→自社独自のブランド、あるいは商標権を持つ人間から直接独占権を得ているブランドを保有している企業を指します。
原則として、そのブランド、もしくはグループブランドの商品しか販売を行うことはできず、
商品の出どころも商標権を持った店舗からでなければなりません。
・モールフラグシップストア(卖场型旗舰店)
→オフラインスーパーマーケットチェーン、
もしくはオンラインB2Cネットブランドの商標権を持った人間が主体となって開設している場合、これに該当します。
・企業モールフラグシップストア(行业卖场型旗舰店)
→オフラインスーパーマーケットチェーン、ストア、
もしくはオンラインB2Cネットショップのブランド商標権を持った人間が主体となって天猫国際に開設している店舗。
また、これらの条件を満たした店舗が行業ブランドに含まれていない商品の販売を行う場合、
そのブランド商標権を持った人間からの権限を提供する必要がある。
・専売店(专卖店)
→他のブランドから販売権を譲渡された店舗
・専営店(专营店)
→同じ天猫国際の商品カテゴリーで複数のブランドを運営している店舗
・銀河専営店(银河专营店)
→天猫国際直営もしくは天猫国際のブランドフラッグショップのフランチャイズの代行運営をしており、
大枠制限に分類されている品を販売していない店舗
本章では、前述した出店形態ごとに必要な書類について解説していきます。
ブランドフラグシップストア(品牌旗舰店)
→企業登記謄本、企業代表者のライセンス証明書、企業代表者の身分証明書、企業の海外銀行口座証明もしくは預金残高証明書
ブランド発祥の商標登録証明書、(その他、企業自体がブランド商標を持たない場合は、ブランド商標を持った人間からの権利書が必要)
モールフラグシップストア(卖场型旗舰店)
→企業登記謄本、企業代表者のライセンス証明書、企業代表者の身分証明書、
企業の海外銀行口座証明もしくは預金残高証明書、第35類に分類される商標謄本、
商品ブランド発祥の商標登録証明書、商品ブランドの権利証明書
第35類とは、主に「広告業(広告代理店のようなサービス)」や「ビジネスコンサルティング」などが該当する区分のことを指します。
企業モールフラグシップストア(行业卖场型旗舰店)
→企業登記謄本、企業代表者のライセンス証明書、企業代表者の身分証明書、
企業の海外銀行口座証明もしくは預金残高証明書、第35類に分類される商標謄本、
商品ブランド発祥の商標登録証明書、商品ブランドの権利証明書
専売店(专卖店)・ 専営店(专营店)・銀河専営店(银河专营店)
→企業登記謄本、企業代表者のライセンス証明書、企業代表者の身分証明書、
企業の海外銀行口座証明もしくは預金残高証明書、商品ブランド発祥の商標登録証明書、商品ブランドの権利証明書
では、実際に「天猫国際(Tmall Global)」に出店する場合は、どの程度の費用が必要になるのでしょうか。
本章では、天猫国際への出店にかかる「初期コスト」と、出店後にかかる「継続コスト」について解説させていただきます。
初期費用
・保証金(店铺保证金)
→店舗保証金は主に、店舗が「天猫国際(Tmall Global)」の規範に基づいて運営を行うことを保証するために使用されます。
また、「天猫国際企業サービスプロトコル(天猫国际商户服务协议)」によって定義されている違反行為を行なった場合、
天猫国際及び天猫国際の消費者に支払われる違約金としての役割もあります。
保証金の額は5万元(約85万円)、10万元(約170万円)、15万元(約255万円)の3種類が設定されており、
出店する形態によって必要な金額は異なります。保証金として必要な金額については以下の表を参照ください。
年間費用
・テクノロジーサービス費用(技术服务费年费)
→天猫国際に出店している企業は、プラットフォームの年間使用料を収める必要があります。
年間使用料は、出品している品目によって3万元(約51万円)もしくは6万元(約102万円)に設定されています。
・販売手数料(实时划扣软件服务费)
→天猫国際に出店している企業は、売上金のうち一定割合の金額を販売手数料として天猫国際に納めます。
こちらも出品している品目によって異なりますが、最も低いもので0.5%、最も高いもので5%に設定されています。
衣類やアウトドア用品、化粧品や家具用品などはそのほとんどが4〜5%に設定されており、クーポン券や食品などは0.5〜2%に設定されています。
つまり、天猫国際に出店を行う場合、
保証金85万円+テクノロジーサービス費用51万円+販売手数料(売り上げの0.5%〜5%)=136万円+販売手数料(売り上げの0.5%〜5%)
が最低でも必要になります。
出店に関する条件、出店形態、出店形態ごとに必要な資料、そして必要な費用について解説しました。
最後に本章では、天猫国際の出店までの流れについて解説させていただきます。
天猫国際の出店までの流れは以下の4つのフローに分けられます。
①事前審査
→天猫国際に出店するために必要な条件は揃っているかの確認を主に行います。
事前審査で必要条件を満たしていると判断された企業が本審査へと移行可能になります。
②本審査
→該当する出店形態ごとに、必要書類の審査が行われます。
また、この本審査の前後で費用の支払いが必要となります。具体的な金額はその都度によって異なるため、要確認となります。
③販売ページの作成
→本審査に通過後、天猫国際に販売ページを開設することが可能になります。
この際に、商品画像や商品紹介文の登録も行うため、事前に準備をしておく必要があります。
④天猫国際上で店舗オープン
→販売ページの作成まで終われば、いよいよ天猫国際上で商品販売を行うことが可能になります。
以上、本記事では天猫国際の出店方法についてまとめました。
細かい規則や条件は年度の途中でも変更となる可能性があります。
ここまで読んでいただけた方はお分かりの通り、天猫国際への出店はやや煩雑になっているため、
実際に出店を検討している場合には、ご相談ください。
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