目次
・マイクロバケーションとは
・最も短期休暇を楽しむのは若年層
・キャンプ用品の販売数の増加
・過去10年間の合計を上回る、キャンプ事業の登録数
・日本企業の越境ECの可能性は?
・まとめ
2020年の中国のキャンプ関連の市場規模は約7000億元(約12兆7千億円)あり、年間成長率は40%を超えました。今後5~10年で市場規模は三倍の2兆元(約36兆円)に達する予測まであります。
過去2年間、コロナウイルスの影響で、中国から海外への観光旅行が制限されてきました。また、中国国内でも時折発生するコロナウイルスの感染拡大のため、長距離を移動する国内旅行の人気も低迷しています。しかし、中国国内の短距離旅行が多くの人の新たな選択肢として選ばれるようになりました。
週末を利用して、自宅から車で2時間以内で到着できる、空気の綺麗な田園地帯へと繰り出し、週末の休暇を楽しんでいます。こういった休暇のことを“微度假”(マイクロバケーション)と呼んでいます。「マイクロバケーション」を楽しむメリットは気軽に楽しめるため、計画を立てやすいことです。
「2021“微度假”风行报告」のレポートによると、「マイクロバケーション」とは、3日以内の地元を中心としたレジャー、休暇として定義されます。
報告書によると、80~95年世代が「マイクロバケーション」の主要な人口で、全体の80%以上を占めています。仕事のストレスを和らげるため、何千人もの若者が都市部を後にして自然の多い地域へと出かけていくのです。
多くの若者はグループでこの休暇を楽しみます。ピクニック、遊園地などが人気となっています。一方で一人旅を好む若者には、芸術祭や建築などの文化的なアクティビティーに人気があります。
現在では、質の高いサービスや体験にお金を払う「小旅行」ユーザーが増え、3日間の旅行に2,000元(約36,000円)をかけるのが普通で基本構成となっており、4,000元以上(約72,000円)かける人も少なくありません。
「マイクロバケーション」で体験できるアクティビティーには、多くのものがあります、例えば、ジャングルトレッキング、ラフティング、釣り、ダイビングなどです。しかし、最も人気があるのはキャンプです。
小红书(中国で人気のSNSサービス)の2021年6月に発表したデータによると、2021年の端午の節句の連休中にキャンプの検索数が前年比約4倍に増加し、北京、成都、上海、重慶、杭州の5都市が最も多かったといいます。马蜂窝のデータによると、2021年最初の10ヶ月間に公開されたキャンプコンテンツの量は昨年と比較して215%増加しているとのことです。キャンプに対する関心の深さがこの数字から見て取ることが出来ます。
「2021“微度假”风行报告」によると、キャンプへ行く頻度は28.8%が1〜2ヶ月に1回、35.4%が3-6ヶ月に一回、19.0%が1年に1回キャンプするという結果になりました。
キャンプは若者に、自然に帰るというレジャーとリラックスをもたらすだけでなく、ソーシャルメディアを通じて自分の生活を共有し、気の合う仲間を増やすという効果ももたらしています。 最近では、ビーチテントや草原でのキャンプの美しい写真がみんなの仲間内で共有され、都会に住む若い人たちの心をくすぐることが多くなっています。
2020年は、業界で「キャンプ元年」として広く位置づけられており、中国のキャンプ市場が急速に発展した年でもあります。
オンラインショッピングでは、キャンプ関連のアウトドア商品の検索がこの1年で大幅に増加しました。例えば、ビンテージキャンプライトの年間検索数が498%、アウトドア用テーブルクロスが487%、アウトドア用シングルチェアが327%、その他アウトドア収納ボックス、キャンプフラッグ、アウトドア用オーディオスタンドなどのキャンプ用品が大幅に増加しました。
2021年の国慶節では、遠出をせず家に閉じこもらない若者が、レジャーの選択肢としてキャンプやピクニックを選んでいることから、多くのECサイトではピクニックマットやテントの販売が爆発的に伸び、昨年同期比14倍となりました。
その結果、カセットコンロやキャンピングライト、カーウォーマーなどのアウトドア用品も軒並み売上を伸ばしました。 中でも、携帯電話の充電用トーチ、ミニ野外ライト、バンドエイド、旅行用サイズの歯磨き粉、使い捨て圧縮タオルが、スポーツアウトドア用品の売上チャートで上位5位を占めました。
またデータによると、国慶節の後もテント、寝袋、ピクニックマット、バーベキューグリルなど、キャンプ関連機器の販売は増加の一途をたどっており、11月の売上高は前年同月比で大幅に増加しました。
また、キャンプに密接に関連するRV車業界も急速に成長しています。“智研咨询”によると、2014年から2020年にかけて、中国のRV車産業の市場規模は21億9700万元(約398億8千万円)から208億2,600万元(約3780億8800万円)に増加し、年間平均成長率は45.48%に達しました。
2016年から2017年にかけて、中国におけるRV車の台数は48,600台から69,432台に急増し、2020年には中国のRV車市場は218,000台以上に達すると言われています。
しかし、欧米の成熟したアウトドアレジャー市場に比べ、中国の現在のRV車所有率は1000人あたり0.2人以下、せいぜい欧米の1%程度であり、国内キャラバン市場の発展ポテンシャルは軽視できないものとなっています。今年登録されたキャンピングカーの企業数は過去10年間の合計を上回り、市場規模も急拡大しています。
天威のデータによると、2021年12月現在、中国には3万社以上のキャンプ関連企業が登録されています。 2020年には、前年比195.6%増の8,229社が設立され、爆発的に登録社数が増加することになります。
2021年に新たに登録された企業は18,678社で、昨年に比べ127.0%増加し、1年間で登録された企業の数はすでに過去10年間の総企業の数を上回っています。
中国のキャンプ産業は「一夜にして火をつけた」と言っても過言ではありません。
ニュービジネスインテリジェンスNBTによると、中国のキャンプ市場は2020年には約7000億元(約12兆7千億円)、年間成長率は40%、今後5〜10年で2兆元(約36兆円)に達すると予想されています。
また、2014年から2020年にかけて、中国のキャンプ市場規模は77億1000万元(約1399億7千万円)から168億元(約3049億9千万円)に増加し、平均成長率は13.9%でした。 2021年の成長率は78.0%で、市場規模は300億元近くに達する見込みです。
現在、タオバオでは個人輸入されたSnow Peakの商品が売られていたり、日本企業のNature Hike社が独自店舗をTmall国際で構えています。こちらの会社は、2,500円の寝袋が月間4,000個、6,500円のタープが月間700個など非常に人気が出ており、月商は軽く2,000万円は超えていると見受けられます。
日本製のキャンプ道具は高品質で知られている模様で、まだまだ参入チャンスがあります。
キャンプ場の市場規模は、観光市場全体の成長や、近距離を移動してより身近に自然を体験したいという消費者の志向を背景に、今後も拡大が予想されます。
中国でのキャンプ業界はまだ始まったばかりで、新しいライフスタイルが生まれつつあり、キャンプブームはしばらく続きそうです。
日本製品も人気で、実際に越境ECに進出して成功しているNature Hikeのような企業も見受けられます。
※この記事は許可を得て翻訳編集加筆のうえ転載しております。転載元は时代数据(ID:datagoo)です。